9月18日(月)、メンタルケア協会富山事務所の視察研修として、福井県の景勝地「東尋坊」で自殺防止活動に取り組んでいる「茂さん」を訪ねてきました。
2019年6月にも「茂さん」を訪ねており、今回は富山事務所としての2回目の訪問です。
茂さんからお話しをお聞きし、毎日のパトロール経路を案内していただきました。
茂さんは元警察官で、定年退職されるまでの1年間、東尋坊を管轄する現坂井西警察署副署長として勤務されていました。
副署長として、東尋坊で自殺された多くのご遺体と接し、あるいは自殺企図者を警察で保護し、家族に引き渡す等をされていたのです。
警察官を退職され民間人としての自由の身となられた2004年春から、仲間を募って、「自殺企図者の捜索、発見、保護、抱えている悩みを取り除く、再起できるように環境を調整する」活動を始められました。
現在、NPO法人「心に響く文集・編集局」として10数人のメンバーが交代で毎日東尋坊を見回り、「死んだらあかん。わしが何とかしてやる。」と断崖絶壁にたたずむ人がいると声をかけておられます。
2004年春からこれまでの約20年間に声をかけ保護された方は800人以上。
パトロール隊員のコアメンバーは、前職が、元警察官5人、元教員、元会社員、元団体職員、福祉関係パート職員、農業、新聞配達員などで、平均年齢は70歳以上になるそうです。
声をかけて保護された方で、すぐに保護者に引き渡せず泊まる場所のない方などには、福井市内にあるシェルター(アパートの一室)で宿泊してもらい、「抱えている悩み事を取り除く」ためには、県内外のパワハラ等が行われた会社、夫婦や家族間の問題であればその家庭等にまで出向き、自殺を決意するに至った原因をなくすための交渉をされています。
単に自殺を決意し、まさに飛び降りようとする方に声をかけているだけではないのです。
メンタルケア協会富山事務所では、毎月の「ほっ!と相談」開催や「心の訪問ケア」という無料相談を行っていますが、直接「悩み事を取り除く」活動まではできません。
しかし、「茂さん」の熱意や行動力を見倣いながら、相談される方に寄り添い、お話しをお聴きし、ご本人が問題解決の一歩を踏み出すための支援活動を続けていきたいという思いを強くしました。
Comments